前回に引き続き、YOURSTORYのTechsparks2020のレポートとなります。
前回はTECHSPARKSの概要版でしたが、今回はもっと掘り下げて、「Tech30」に焦点を当てていきます。
1.Tech30とは何か?
Tech30とは毎年YOURSTORYが選抜する有望スタートアップ群のことを指します。インド発のスタートアップであり、毎年数千社からの応募の中から30社まで絞り込まれます。この選抜課程の中でエコシステムのプレイヤー(アクセラ、VC、CVC、エンジェル等)が審査に加わり、YOURSTORYが選ぶ有望なインド系スタートアップという評価を得るに至るのです。
Tech30に選抜されると、Techsparksのメインイベントであるピッチに参加する権利を得ることができます。例年だと、数百人が集う大ホールにて3分きっかりのピッチをステージ上で実施していました。2019年、直にその光景を見てきましたが、その風景は圧巻で感動しました。このピッチだけで数千万円から数億円の投資マネーが動くと言われております。
【Tech30特設紹介ページ】
2.今年のTech30のリスト
今年選抜されたTech30は以下リストのスタートアップ群となります。
パッと見、ベンガルール発のスタートアップが大多数を占めており、ソフトウェア系に分類される企業が多く散見されます。ハード系はまだまだ少数派という印象です。
ステージとしては、アーリーステージ(シードからプレシリーズA段階)のスタートアップが主となっており、最長でも6年目の企業しかなく、大多数が創業1年目から4年目のスタートアップとなっています。
【Tech30企業リスト】
3.Tech30の企業概要紹介(抜粋)
ここでは、上記リストから複数社ピックアップして事業・プロダクト概要を紹介します。
3-1.Pixxel(ベンガルール、2019年創業)
Pixxelは、超小型地球観測衛星の独自開発と、衛星から取得できる画像を抽出するためのソフトウェアプラットフォームを構築しているスペーステック系スタートアップです。Pixxelの超小型衛星は、完全に展開されると、毎日世界中をカバーすることができます。データと分析対象としては多岐にわたり、農業、石油・ガス、気候変動、林業、都市計画といった多方面に転用可能となっています。今年度末をめどに最初の超小型衛星をソユーズロケットで打ち上げる計画が進行中です。彼らの売りとしては、従来の解像度よりもレベルが高い「ハイパースペクトル解析」を利用している点です。この分野ではインド発のスタートアップは中々なく、更に優れているのは自前の衛星を製造する技術があり、衛星データのプラットフォーマーになることができる可能性を秘めている点です。
【プロダクト写真】
3-2.EyeROV(コチ、2017年創業)
いわゆるマリンテック(海洋・水産)に属するスタートアップです。Remotely Operated Vehicle (ROV)と呼称される水中用ドローンを設計・製造しています。この水中用ドローンの用途としては、ダム、橋、港湾、海洋構造物、船体、パイプライン、その他の重要な水中構造物の検査です。EyeROVはドローンの製造に加えて、特に水中での産業検査のためのAI/MLアルゴリズムを搭載したアナリティクスプラットフォームEVAPを構築しました。マリンテック系のスタートアップは数も多くなく、これから勃興していく業界という印象を受けます。
【プロダクト写真】
3-3.Sunfox(デハルダン、ウッタカランド州、2016年創業)
Sunfoxは持ち運び可能な心臓診断のためのスマートデバイスを製造・販売しているヘルステック系のスタートアップです。彼らの主力製品「Spandan」は、心臓の健康状況把握のためのAIを内蔵した小型でスマートなデバイスとなっています。このスタートアップは、元々は農村地域の医療格差を是正しようと発足したスタートアップですが、現在では心臓診断における安価かつ効率的なイノベーションで、世界の健康にインパクトを与えようとしています。
【プロダクト紹介】
ここまでが、TECHSPARKSのレポートとなりますが、年々新しいスタートアップが勃興しているような印象を受けます。個人的には、ソフトウェア系のスタートアップから徐々にディープテック系のスタートアップもその比重と数が増していくような気がしています。
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