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インドスタートアップ

インド最大手メガネ企業Lenskart(レンズカート)

2023年2月24日

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インド最大手メガネ企業Lenskart(レンズカート)

インドのユニコーン企業について言えば、インドに革命を起こした企業がいくつかあります。そのような革命的なユニコーンの 1つが今回ご紹介する「Lenskart」です。Lenskartは眼鏡業界に大きな変化をもたらしました。

1. サービス概要|Lenskartとは

Lenskart(レンズカート)はインドで創業されたアイウェア企業です。生産から販売までを自社で行う垂直統合、100%ロボット生産による小数点以下3位までの正確性実現により手頃な価格で高品質なアイウェアを提供しています。また、シンガポール、インド、ドバイの3か国で900店舗以上を展開すると同時にECサイトやアプリでの購入も可能で、アプリのDL数は累計2000万を突破しています。

商品展開は軽量タイプやフレキシブルタイプなど機能性に特化したラインやファッション性を重視したラインなど多様で、全てのラインで一本98ドル(フレーム・レンズ代金込み)から購入が可能です。またオンラインショップではカメラを用いて顧客が実際に商品を装着したイメージを立体的に確認出来たり、顔分析によりフレームの提案を受けることができたりと特徴的なサービスが存在します。

2. 企業概要|レンズカート

法人名Lenskart
ファウンダーAmit Chaudhary(Co-Founder)Peyush Bansal(Co-Founder, Chief Executive, and People Officer)
HPリンクhttps://www.lenskart.sg/
設立年度2010年
資本金
売上
本社所在地Faridabad, Haryana, India
従業員数251-500人
ミッション人々の世界の見え方、体験の仕方を変えること

3. 創業の経緯、ファウンダーBIO|Lenskartの歴史

Lenskartは、インドの起業家Peyush Bansal と Amit Chaudharyによって設立されたインドのアイウェアスタートアップです。

Lenskartの共同設立者兼CEOであるPeyush Bansalはムンバイで生まれ、アメリカで人気のビジネス リアリティ テレビ シリーズShark Tankのインド版Shark Tank Indiaに出演したことをきっかけに一躍有名となりました。

当時、インドのメガネ(アイウェア)市場には主要な企業や組織がなく、インドで眼鏡をオンラインで購入するための選択肢がほとんどありませんでした。

そこで、Peyush Bansal と Amit Chaudharyの二人は、インドのアイウェア市場を改革するために、自分たちでお金を出し合ってLenskartを立ち上げます。

そして過去 7 年間で、Lenskart はインドを代表するアイウェアブランドに成長しました。

現在、Lenskartはインドを代表するアイウェア ブランドとなり、1,000 人を超える従業員を擁しています。 たった 2 人の男と1つのアイデアで始まったスタートアップは大きな成功をインドにもたらしたと言えるでしょう。

4.ビジネスモデル|Lenskart

Lenskartは、オンラインのみの販売ビジネスとして始まりました。

メガネの幅広い品揃え、競争力のある価格、使いやすいウェブサイトにより、Lenskartは話題となり、すぐに顧客を獲得することができました。

また、メガネを購入する前に試着できる「自宅試着サービス」も実施。 これにより、忠実な顧客基盤を構築することに成功しました。

しかし、近年、The Eyewear Brand は実店舗にも進出しています。これにより、より多くの顧客にリーチできるようになり、顧客が眼鏡を購入する前に試着する機会もより提供することが可能となっています。オンラインから入り、実店舗への道のりは戦略的な動きと言えるでしょう。

Lenskart は現在、インド全土に 100 を超える実店舗を展開しています。

過去のラウンド概要|Lenskarの調達情報

時期調達額調達ラウンド投資家
2022年11月18日​​₹3.2BシリーズIDSP Mutual Fund
2022年8月8日₹1BシリーズIRavi Modi Family Trust
2022年6月9日₹2.2BシリーズIAvendus Capital, Temasek Holdings
2022年4月11日₹9.5BシリーズIAlpha Wave Incubation, Epiq Capital
2021年7月19日₹16.5BシリーズHAlpha Wave Global, Temasek Holdings
2021年5月16日$95MSecondary MarketKohlberg Kravis Roberts
2019年12月20日$275MシリーズGSoftBank Vision Fund
2019年9月16日$55MシリーズFKedaara Capital
2018年8月7日Secondary MarketEpiq Capital
2017年1月9日₹240MSecondary MarketUnilazer Ventures
これ以下は未確認

5.業界の動向、分析|Lenskartのバリュエーションは?

Lenskartの現在の評価額は約500億ドルと考えられています。これは、わずか10,000 ドルのシード資金で設立された会社にとって、高いバリュエーションと言えるでしょう。

Lenskartには拡張計画があり、今後5年間で、インド全土に 1,000 店舗をオープンする予定です。

これは野心的な目標ですが、彼らのこれまでの実績を考慮すると、達成可能な目標と聞こえるのではないでしょうか。また、近い将来、中国や中東などの新しい市場への参入も計画しています。

では、Lenskartはどのように成長し続けるのでしょうか?

Lenskartは、顧客満足度に重点を置き、優れたオンライン体験を提供しています。それにより、顧客は自分に合った眼鏡を簡単に見つけて購入ができるのです。

そして、オンラインでのプレゼンスがインド全体でますます高まっているため、インド中の人々が製品やサービスにアクセスするのがこれまで以上に簡単になっています。

今後も、Lenskartの利用客は増えると見込まれるのではないでしょうか。

6.競合との差別化ポイント|Lenskartの特徴

Lenskartは、国内の競争環境により、インドを代表するアイウェアブランドになっています。

Lenskartが競合他社から際立っているのには、いくつか要因があります。

まず一つ目は、Lenskartの小売チェーンは、競合他社よりもパーソナライズされた顧客体験を提供しているという点です。つまり、メガネを購入する前に試着できるほか、さまざまなオプションから選択が可能なのです。

このパーソナル化は、「買い物客が購入前に商品を試着できることを好むインドの文化」において重要と言えるでしょう。

2 つ目は、競合他社よりも低価格を提供できることです。 

彼らはより費用対効果を高くするために、価格に敏感な買い物客を引き付けることに重点を置いています。

最後に、Lenskartチェーンは、マーケティングと広告に多額の投資を行っています。彼らは、独自のブランドを構築し、新規顧客を引き付けるために多くのキャンペーンを成功させてきました。

これらすべての要因が重なり、Lenskart はインドを代表するアイウェア ブランドになりました。

パーソナライズされたショッピング体験の提供、低価格、マーケティングと広告への多額の投資といった努力は、競合他社よりも際立っています。

7.筆者コメント

ここまでLenskartのサービス、業界動向についてまとめてきましたが、筆者の見解としては以下となります。

■実店舗の競争が鍵

Lenskart(レンズカート)の規模は大きいですが、インド以外にはあまり出ておらず、ECが中心です。ECの強みがありますが、CEOも1,000店舗を目標としているなど、近年では実店舗の進出にも力を入れていることが伺えます。

海外の企業と競争を勝ち抜いていくためには、数百、数千店舗では、戦うことが難しいグローバル時代。そして、コロナのようなパンデミックが再発すると、実店舗が受ける打撃は大きい。

中国や欧州の大手メガネチェーンが上陸した際に、競争力を失ってしまっては本末転倒です。

日本でも、アパレルだと20年前はセシルマクビーやエゴイストが、国内大手でしたが、ZARA、H&Mが上陸して、競争力を失っていきました。

ECとしてブランドを確立していったLenskartが、今後実店舗でもどう成功していくのかが見ものです。

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記者プロフィール
齊藤大将さん
株式会社シュタインズ代表取締役。 情報経営イノベーション専門職大学客員教授。 エストニアの国立大学タリン工科大学物理学修士修了。大学院では文学の数値解析の研究に従事。VR学校(私立VRC学園)やVR美術館を創作。CNETコラムニストとしてエストニアとVRに関する二つの連載を持つ。 この記者の記事一覧