インターネットを通じて様々なデータをやりとりすることができるようになった現代では、様々なビジネス上での戦略・課題解決を勘や経験に依らず、データを活用してロジカルに組み立てることができるようになりました。こうした、様々なデータを業務に活かす「データドリブン」と呼ばれるプロセスは、現代ビジネスシーンのデファクトスタンダードとなっています。
「Pipedrive」は、ビジネスにおいて非経済的なプロセスを効率化し業務改善を図ると共に、「データドリブン」を取り入れて意思決定を補助してくれるエストニア発のCRM(顧客関係管理)サービスです。
1. 概要|Pipedriveとは
Pipedriveは、エストニア発のSaaS系開発企業です。同名のCRMサービスである「Pipedrive」を開発、運営しています。
2019年までにAtomico、 Bessemer Venture Partners、Paua Ventures、Rembrandt Venture Partnersなどから総額9,120万ドルのベンチャー資金を調達し、2020年にはエストニアで設立された5番目のユニコーンとなりました。
「Pipedrive」は、現在世界中の10万を超えるオフィスによって使用されているCRMサービスの大手の一つであり、研修コストが低い優れたUI/UX、使いやすさを補佐するガイドAI、充実したリード(見込み客)獲得のための管理機能といった、顧客管理を円滑に行うための機能を備えています。
また、チャットボットやウェブフォームの作成、定型業務の自動化や提案書、見積書、契約書の自動生成など、各種雑務もサービス内で完結します。
営業担当者の活動をサポートする、ビジネスの心強い味方といえるでしょう。
2. 企業概要|Pipedrive
法人名 | Pipedrive |
ファウンダー | Timo ReinUrmas PurdeRagnar SassMartin TajurMartin Henk |
HPリンク | https://www.pipedrive.com/ |
設立年度 | 2010年 |
資本金 | – |
売上 | – |
本社所在地 | Estonia |
従業員数 | 1000人(2022時点) |
ミッション | 中小企業の成長のサポート |
3. 創業の経緯、ファウンダーBIO|Pipedriveの歴史
Pipedriveは、マーケター、ソフトウェアエンジニア、スタートアップ、アントレプレナーというまったく異なる背景を持つ5人のエストニア人によって、ガレージの中で2010年に設立されました。彼らは、当時の市場を席巻していたCRMサービスに、大きな矛盾点があることに気付きます。CRMサービスは営業担当者のニーズに即して作られるべきであるはずが、担当者にとってとても使いづらいものが広く用いられていたのです。
共同創業者であるTimo Rein、Urmas Purde、Ragnar Sass、Martin Tajur、Martin Henkの5人は、当時のCRMサービスを超えるため、営業担当者の視点から使いやすく感じるような、視覚的かつ、合理的なプロセスで営業活動ができるセールスプラットホームを目指し、開発にとりかかりました。
8か国にわたり1000名もの従業員を擁するまで成長したPipedriveは、現在でもあらゆる場所の中小企業の成功を支援するという1つの目標に向かって、営業担当者の心強いパートナーを作り続けています。
4.業界の動向、分析|Pipedrive
CRMサービスは、現代ビジネスシーンの中で既に当たり前の存在となっています。デジタルマーケティング技術の発展に伴い、サービス自身もより営業担当者が使いやすいように今日までそれぞれが形を進化させ、多様化してきました。
また「データドリブン」という言葉も、近年多くの場に浸透し、使われるようになりました。情報社会における顧客行動の複雑化や、蓄積されるようになった膨大なデータが、営業活動のデータドリブン化を加速させています。
Pipedriveが生み出したCRMツールは、このようなビジネスシーンの流れを先取りした新しい形の営業支援サービスのパイオニアと言えるでしょう。
5.競合との差別化ポイント|Pipedrive
Pipedriveは他のCRMサービスとは異なり、営業担当者をコントロールするのではなく、サポートするために構築されている点が特徴です。AI と自動化を使用して、営業担当者の業務量を増やすことなくリードと取引を効率的に管理し、顧客や見込み客とのコミュニケーションを追跡し、より意味のある取引を支援するのです。
またPipedriveのチームはサービス黎明期、製品のローカライズを意図的に排除しました。これには、新しいサービスにとって最大の脅威であるマルウェアとのタッチポイントを減らす意図があります。
また時を同じくして、Pipedriveは自社のソリューションを効果的に宣伝し、それを使うべき人にソリューションを届けるために、市場のインフルエンサーを特定することにも力を入れました。
そうした企業努力を経て、現在PipedriveはCRMサービス業界を牽引するユニコーン企業へと成長しました。
6.筆者コメント
ここまで、エストニアスタートアップ”Pipedrive”について、サービス概要を交えながらまとめてきました。調査をした上での筆者の見解は以下となります。
営業担当者に寄り添う、新たなCRMサービスの先駆け
現在、CRMサービスは世のビジネスシーンに広く浸透していると上で述べましたが、中小企業の多くはまだ営業活動の記録をExcel等で管理しているのが現状だと思います。特に日本では、伝統的な多くの企業が情報化へと向かう社会から切り離され、非効率な営業活動を行っているのではないでしょうか。
Pipedriveのミッションは「成長のためにビジネスのデジタル化に取り組む中小企業の成長のサポート」であるとCEO、Raj Sabhlokは語ります。この理念が今よりさらに浸透し、多くの企業が非効率な営業活動から解放されることを筆者も強く願います。
AIや、データ活用技術の発達によって、デジタルマーケティング分野は目覚ましい発展を遂げています。それに合わせ営業担当者がより使いやすく、効率的に業務にとりかかることができるよう、CRMサービスも同じように進化していくでしょう。今後のこの業界の動向に、情報技術の発達と共に注目していきたいです。