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Eコマースの新時代!Eコマースに欠けていた接客を提供するGliaとは?

2024年5月15日

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Eコマースの新時代!Eコマースに欠けていた接客を提供するGliaとは?

Eコマースは、現在消費者にとって最も便利な商取引でしょう。実店舗に行かなくても、インターネットに繋がっているだけで簡単に物の売買ができ、支払もキャッシュレス。誰もが自宅の中でくつろぎながらショッピングを楽しむ時代になりました。

Eコマース市場がその利便性を持って順調に市場規模を伸ばす中、Eコマースを利用する人々はそれが持つある「欠点」に気付きました。それは「インターネット上では”接客”を受けられない」ということです。

そうした市場のあり方を良しとしないため、Gliaは「Eコマースを利用する顧客へもカスタマーサービスを提供する」ためのプラットフォームとして誕生しました。

1. 概要|Gliaとは

Gliaは、ニューヨークに本社を置く、エストニア発のソフトウェア開発企業です。2022年3月にシリーズDで4,500万ドルの資金調達に成功し、エストニアではちょうど10番目のユニコーン企業となりました。

彼らが開発するソフトウェア「Glia」は、実店舗と同等のサービスをEコマース上で実現するためのデジタルカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆる顧客へのアプローチ手段を統合し、シームレスに切り替えるためのChannelLess™アーキテクチャを実装し、CoBrowsing(コ・ブラウジング)、ビデオチャット、AIサポートなどの機能を連続的に切り替え、使用することができます。これによりインターネット上でありながらも、さながら実店舗のように顧客と店員が一緒にサイトを散策したり、商品について話し合ったりすることができるようになるのです。

2. 企業概要|Glia

法人名Glia
ファウンダーDan MichaeliCarlos PaniaguaJustin DiPietro
HPリンクhttps://www.glia.com/
設立年度2012年
資本金
売上
本社所在地New York, US
従業員数
ミッション優れたカスタマーサービスをデジタルでも実現する

3. 創業の経緯、ファウンダーBIO|Gliaの歴史

Gliaのアイデアの源泉は2011年、同社のファウンダー達がまだFortune 50の小売業者でコンサルタントをしていた時代にあります。彼らのクライアントであったその小売店は、対面形式での優れたカスタマーサービスによって競合優位性を獲得していたことに彼らは気付きました。そしてEコマース市場でこの優位性を再現するにはどうすれば良いか疑問を持ったことから、Gliaの歴史がスタートしました。

彼らは投資家からの支援を受けて、全くの0ベースから統一されたデジタルカスタマーサービスプラットフォームの構築に着手しました。Gliaのチームは、CX、金融サービス、SaaS業界からの何年もの経験を持ち寄り、プラットフォームの設計・生産・サポートに力を入れました。そしてデジタルカスタマーサービス、自動化、コールセンター技術を含む統一インタラクション管理への革新的なアプローチ、つまり現在のGliaの形へと到達します。このアプローチは特許も取得されています。

4.ビジネスモデル|Glia

Gliaが販売しているプラットフォームは、サービスの一つ一つの側面すべてに革新的な面を持っているわけではありません。インタラクションに関わる業務すべてが”統一”されていることにGliaの革新性があります。

チャットでも、通話でも、今まではそれぞれ別のサービスを経由する必要がありました。例えばチャットでやり取りして分からなかったことを解消するために、わざわざ携帯電話やビデオ会議アプリを起動しなければならなかったのです。消費者にとって、これほど煩わしいこともないでしょう。

Gliaはこうした「消費者にとってのハードル」を取り除いていくことをカスタマーサービスであると位置づけ、消費者が最も望むコミュニケーション方法にシームレスに切り替える手段として開発されました。一つ一つの機能ではなく”統一プラットフォーム”として、Eコマース上でのカスタマーサービスのあり方に一石を投じたのです。

5.競合との差別化ポイント|Glia

デジタルカスタマーサービスの思想はかなり原初のアイデアです。Eコマースを利用したことがある人々は誰もが一度は「インターネット上でも接客、サービスを受けたい」と思ったことがあるでしょう。そうした消費者の願いを叶えるために多くのデジタルカスタマーサービスのアプリケーションが開発されました。しかしアプリケーションのほとんどは、例えばFAQ制作のみ、ビデオ通話のみ、チャットサービスのみ、などといったたった一つのソリューションしか持ち合わせていません。Gliaの存在は、デジタルカスタマーサービスがこうして異なるプラットフォームによって提供されている現実を否定します。

「顧客サービスの未来はデジタルにあり、サポートとエンゲージメント戦略をアップデートしていない企業はすでに遅れています」とGliaのCEO、Danは語ります。Danは、まだ消費者のほとんどがデジタルカスタマーサービスの真の威力を見たことがないと強調しました。あくまで断続的であったサービス提供から、シームレスで途切れのないサービスへ。Gliaは、デジタルカスタマーサービスの新しいあり方を競合に問いかけています。

6.筆者コメント

ここまで、ユニコーン企業”Glia”について、サービス概要を交えながらまとめてきました。調査をした上での筆者の見解は以下となります。

・デジタルカスタマーサービスが新たなステージへ至る草分け的存在

Gliaが誕生してから10年以上が経つ現在、Eコマースはほぼ全人類に浸透するに至りました。そしてEコマースプラットフォームもほぼ成熟し、ここ数年は大きな形の変化を見せません。サプライヤーが次に競合他社と差を付けるステージは「オンライン上でのカスタマーサービス提供」となるでしょう。その未来をいち早くかぎ取ったGliaは、カスタマーサービスに関する統一プラットフォームを一番のりで開発しました。

しかし近年はXR技術やコパイロットに関わる研究も進んでおり、Gliaとはまた違ったカスタマーサービスの形が誕生するかもしれません。未来の”ネットショッピング”がどのような形になるか。Gliaの今後も含め、新たな技術やサービスの誕生に期待が膨らみます。

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記者プロフィール
岩本晴空さん
株式会社FUNS所属。同社にてメディアライター、webデザイン等を経験。現在はVR×地域活性を主軸にした研究コミュニティを埼玉県加須市で展開している。 この記者の記事一覧