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世界最大級のオンラインカジノユニコーン企業!Playtechとは?

2024年1月21日

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世界最大級のオンラインカジノユニコーン企業!Playtechとは?

“カジノ”と聞くと怪しい、後ろめたいイメージを浮かべてしまうのは、日本人特有の現象ではないでしょうか。しかしマカオやラスベガス、シンガポール等、カジノを大々的に観光戦略に組み込んでいる地域は沢山あります。それらの地域が観光地として大きく注目されていることから、やはり人間は賭け事に惹かれてお金を落としていくのでしょう。また近年はオンラインカジノが、新型コロナの影響もあって市場を伸ばしています。

Playtechは、カジノが秘める経済性に目を付け、いち早くオンラインカジノの大手として力を付けたエストニアのユニコーン企業です。

1. 概要|Playtechとは

Playtechは、エストニアに拠点を置くゲームプロバイダープラットフォーマーです。リリースするゲームはカジノゲームが中心で、2001年の最初のゲームリリース以来いくつもの新しいゲームを公開しています。アプリ企画・開発・保守管理を同社で一元管理しているのが特徴で、そのクオリティに対する信頼性は多くのファンから評価されています。同社は2006年にはすでにロンドン証券取引所のAIMに9.5億ドルで上場しており、ユニコーン企業としては古株の企業となります。

Playtechは戦略的事業拡大を現在まで積極的に行っており、世界最大のポーカーコミュニティの1つであるPokerStrategy.comや、スウェーデンのゲーム開発会社Quickspin等を買収しています。

2. 企業概要|Playtech

法人名Playtech
ファウンダーTeddy Sagi
HPリンクhttps://www.playtech.com/
設立年度1999年
資本金15億2000万ドル(時価総額)
売上4億180万ドル(営業キャッシュフロー)
本社所在地Tartu
従業員数
ミッション最高のゲームコンテンツの開発

3. 創業の経緯、ファウンダーBIO|Playtechの歴史

Playtechの生みの親はイスラエル出身のTeddy Sagi。彼がPlaytechに込めた野望は、単にオンラインゲーム市場に参入することではなく、それを支配することでした。

両親から決断力と勤勉さの重要性を学んだというSagiは、知識を駆使して不動産取引や株式投資を始めました。しかし1996年に金融犯罪で逮捕され、9か月の服役を経験することとなります。出所した後、インターネットの台頭を感じたSagiはオンラインゲーム市場の潜在成長力を見出し、事業機会を追求するようになりました。

そして1999年、エストニアでPlaytechが産声をあげます。Sagiが目指したのは”初めから高品質なプロダクト”。彼は優秀な数学者、開発者、エンジニア等を囲い込み、かつてない革新的なゲームプラットフォームを生み出しました。

4.業界の動向・分析|Playtech

オンラインカジノ市場の歴史には、いくつかのブレイクスルーが存在します。

1995年までにアンティグア・バーブータでオンラインカジノ運営者に対して政府の公的なライセンスを発行する法律が可決されたこと、そしてソフトウェア開発企業Cryptologicによって安全な資金移動が可能となったことが土台となり、オンラインカジノ市場がスタートしました。

2010年には配信に係るテクノロジーが発展し、ライブカジノが行えるようになりました。ディーラーと直接ゲームを楽しむことができるようになり、オンラインカジノはさらに白熱するようになります。

2020年は、新型コロナウイルスの影響下でオンラインカジノの知名度が上昇し、アクセス数が以前の100倍に増加しました。

また仮想通貨の登場・台頭によって、匿名性の高い取引が行えるようになり、これはカジノにとっても追い風となりました。

オンラインカジノ市場については2030年までに市場規模が1530億ドルに上るという予想もされており、今後の成長性、発展性が評価されています。

5.競合との差別化ポイント|Playtech

Playtechは、Sagiの”徐々に改善するのではなく初めから革新的なプロダクトを市場投入する”という意図により、いつの時期も競合他社を上回る革新的なソフトウェアプラットフォームとなるよう数々のある意味では”貪欲な”手法でプラットフォームを創り上げてきました。

一つは影響力の拡大です。PokerStrategy.comやAristocrat Lotteries、YoYo Games、Quickspinといったカジノコミュニティやゲームプロバイダーを数々買収し、市場に対する影響力を強め、競合となるカジノプラットフォームとの差別化を図りました。

有名コミックとのタイアップに意欲的なことも魅力的です。Playtechは2017年まで、Marvel Comicsのスロットゲームをライセンス契約下のもと運営していました。既に契約は満了しており同ゲームは現在稼働していませんが、2017年2月にDC Comicに基づいたスロットゲームの開発を目指してWarner Brosとの提携を発表しました。

そしてプラットフォームの盤石化にも力を入れています。2016年にはプライムブローカーCFH Groupを買収しファイナンス部門を強化。2017年にアナリティクス企業BetBuddyを買収し安全なカジノ運営を強化しました。翌年1月にはFeaturespaceのリアルタイム詐欺検出プラットフォームを統合し、詐欺事案に対する対策を強めています。

以上のような、支配的とも思える積極的な施策によって、Playtechは他プラットフォームには実現が難しいエンタメ性、安全性を創り上げています。

6.筆者コメント

ここまで、エストニアのユニコーン企業”Playtech”について、サービス概要を交えながらまとめてきました。調査をした上での筆者の見解は以下となります。

・市場の潜在性を見抜き早期に成長を果たした支配的存在

Playtechは既に、オンラインカジノ市場の老舗・最大手として、信頼性や実績が高く評価されています。その成功の背後には、Sagiが唱えた”初めから革新的なプロダクトを投入する”という考え方が大きな役割を果たしています。このアプローチは、市場の成長性を見込み、デファクトスタンダードとなりうる新たな価値を生み出すことがスタートアップの成功に繋がる、ということを示す良い例だと筆者は感じます。

技術発展や技術の普及によって、PlaytechのようなITを用いた”イノベーティブ”なソリューションがこれからも次々生まれていくでしょう。次の時代の新たなイノベーターが、どのような市場を見出すのか。ITスタートアップ市場からは目が離せません。

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記者プロフィール
岩本晴空さん
株式会社FUNS所属。同社にてメディアライター、webデザイン等を経験。現在はVR×地域活性を主軸にした研究コミュニティを埼玉県加須市で展開している。 この記者の記事一覧