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インドスタートアップユニコーン

インドの食肉D2CスタートアップLicious(リシャス):海外ユニコーンレポート

2021年11月10日

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インドの食肉D2CスタートアップLicious(リシャス):海外ユニコーンレポート

二度のロックダウンを経て、リビングウィズコロナの状況となってきているインドですが、イーコマースを中心としたD2C, オンラインショップ、デリバリーサービスが活況を呈しています。

今回は、その中でも食肉のD2Cに特化した、Licious(リシャス)に焦点を当てて、現地からのレポートをお届けしていきます。同社は直近の資金調達の報道にて、インドのユニコーンクラブ入りを果たし、食肉D2Cでもトップラインを走り続けています。

インドではベジ料理(ベジタリアン)がメインではないかと思われがちですが、実はノンベジ(食肉)消費も活況であり、業界動向も併せて紹介していきます。

1 サービス概要

以下リンクより引用

https://indiadesire.com/licious-new-user-offer-25050/

Liciousは食肉のD2C1サービスを行っている会社であり、鶏肉、魚、マトン、卵、魚介類などのノンベジタリアン製品を、手作業でカットし、個別に真空パックし、新鮮なうちにマリネにしたり、コールドカットして顧客に提供しています。同社は5つの加工センターを持っています。ハイデラバード、ムンバイ、グルグラムに各1カ所、バンガロールに2カ所の加工センターを持ち、全市場で90以上の配送センターを展開しています。(以下論考より参照。)

Liciousは鶏肉、魚、エビ等の魚介類、卵、羊肉、スプレッド、コールドカット、ケバブ、タンドールを中心とした食品を取り扱っています。

写真はLiciousで実際に配送された商品です。輸送に耐えることができるようにしっかり梱包がされています。(ベンガルールにて筆者撮影。)

鶏肉には、むね肉から足、手羽先、ミンチ、鶏ドラムスティック、カレー用にカットされた肉等、様々な種類が存在します。

Liciousホームページより筆者抜粋
商品名価格正味重量
Chicken Thigh – (Skinless)Rs. 230450 gms
Chicken Thigh (Boneless)Rs. 245450 gms
Chicken Boneless – Tikka CutRs. 225450 gms
Chicken Tenders (Boneless)Rs. 245350 gms
Chicken Curry Cut (Large – 8 to 10 Pieces)Rs. 129500 gms
Chicken Curry Cut (Small – 13 to 16 Pieces)Rs. 129500 gms
Tender Spring Chicken Curry CutRs. 225800 gms
Liciousホームページより筆者抜粋、作成

魚介類にはマナガツオ、エビ、シーバス、カトラ(淡水)、バサ、タイ、イカ等が存在します。

Liciousホームページより筆者抜粋
商品名価格正味重量
Sea Bass – Curry CutRs. 319500gms
Basa Cubes (Boneless)Rs. 299500gms
Freshwater Catla Large – Bengali Cut (w/o Head)Rs. 209500gms
Freshwater Rohu Large – Bengali Cut No HeadRs. 349450gms
Freshwater Rohu – Bengali Cut (Without Head)Rs. 355250gms
Basa Fillet – (Platinum Grade)Rs. 509450gms
Freshwater Prawns 50C – (Cleaned and Deveined NoTail)Rs. 279500gms
White Pomfret – (Whole and Cleaned)Rs. 675500gms
Liciousホームページより筆者抜粋、作成

マトンにはヤギのひき肉、ラムのひき肉、カレー用にカットされたヤギ肉やヤギ肉の赤身、ビリヤニ用にカットされた羊肉やラムの腎臓、ラムのリブやチョップといった種類があります。

Liciousホームページより筆者抜粋
商品名価格正味重量
Lamb MinceRs. 499500gms
Goat KeemaRs. 499500gms
Lamb Shoulder – Curry Cut (Medium)Rs. 519500gms
Goat Shoulder – Curry CutRs. 519500gms
Liciousホームページより筆者抜粋、作成

その他、チキンマリネやケバブ、卵、スプレッド、コールドカットにもそれぞれ豊富なメニューが含まれています。

Licious社は、バックエンドのサプライチェーン2とコールドチェーン3のすべてを所有するFarm to Forkモデル4を採用しています。また、お客様が商品を注文し、オンラインでの配送を事前に予約できるサブスクリプションモデルも提供しています。カスタマープラットフォームでは、顧客はベジタリアン以外の美味しい料理を作ることができるようにレシピを見ることができます。

ビジネスモデルとしてLiciousはD2Cを採用しており、商品の調達、加工、保管から消費者への配送まで、すべてLiciousで行われています。D2Cにより、同社の収益の85%を占める90%のリピーターを確保しています。D2Cでは中間業者を介さず、直接顧客に商品をことができるため、30~40%の利益を確保することを可能にしています。月に100万件以上の注文を受注しているのですが、注文後、90~120分以内に商品を顧客に届けることができるようなビジネスモデルとなっています。又、Licious社のビジネスモデルは、すべての製品の鮮度、優位性、価値を維持するために構築されています。(以下論考より参照。)

又、Liciousのビジネスモデルに関してはニチレイの経営企画部事業開発グループアシスタントリーダーである丸山氏はLiciousはインドの大都市近郊に商圏を設定して、その中に契約農家と加工施設、配送センターなどを配置し、顧客の購買履歴などのデータをもとに、高い精度で購買行動を予測することで、生産から加工、物流までを最適状態でつなげていると述べています。

https://www.nichirei.co.jp/newbiz/biz001/ より引用。

– 誰のどんなペインを解決しているのか?

生肉等の食品産業において、品質や衛生面、鮮度、利便性が課題とされていましたが、Licious社は、Farm to Fork(農場から食卓まで)のビジネスモデルを採用しており、厳格なコールドチェーンで管理されたサプライチェーンによって、製品の調達、加工、保管から最終消費者に届くまでの品質と鮮度を維持することを可能にしています。

https://in.linkedin.com/company/licious-borntomeat より参照。

– 価格感やどんな市場に対してのソリューションとなっているか?

Licious社はわずか5年間で300%の成長を遂げ、主な市場はバンガロール、ハイデラバード、NCR、チャンディーガル、ムンバイ、プネ、チェンナイ、コインバトール、ジャイプール、コチ、バイザッグ、ビシャカパトナム、ビジャヤワダ、ポンディシェリー、コルカタのといった都市で300万パック以上の食肉製品を提供してきました。

https://in.linkedin.com/company/licious-borntomeat

価格帯に関してはサービス概要記載。

[注釈]

1D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、「製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味の言葉です。

https://www.sbpayment.jp/support/ec/d2c-merit/#clm_indx_01

2サプライチェーンとは商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことのことです。

https://www.mitsui-soko.com/column/2019/11

3コールドチェーンとは低温管理が必要な製品を冷蔵もしくは冷凍した状態で最終消費地まで配送する方式です。(https://lplanners.jp/blog/coldchain-logi/ より参照)

4Farm to Forkモデルでは、小売企業が自身で物流チェーンを所有するか、あるいは物流企業に委託するモデルを指します。

https://www.hindustantimes.com/india/farm-to-fork-model-gets-new-addition/story-sFXRrboraxGKsitBrbxj8L.html#:~:text=A%20farm%2Dto%2Dfork%20model,good%20price%20for%20his%20produce.

2.企業概要(2021年6月30日時点)

法人名Delightful Gourmet Pvt Ltd
ファウンダーAbhay Hanjura, Vivek Gupta
HPリンクhttps://www.licious.in/
設立年度2015年
資本金
売上
本社所在地ベンガルール、インド
従業員数2,477
主要投資家一覧3one4 Capital,Mayfield Fund,Bertelsmann, Vertex Ventures,Nichirei,Vertex Growth Fund,Multiples Alternate Asset Management Private Limited,Temasek Holdings
ミッション世界で最も愛されている肉ブランドを構築し、他に類を見ない肉と肉製品のラインナップで世界を楽しませること。

Luciousホームページ、LinkedIn、Crunchbase, Craft.co、tracxnより筆者作成

3.創業の経緯・ファウンダーBIO

-創業の経緯

Delightful Gourmet Pvt Ltd.が所有するLiciousは、2015年7月にAbhay Hanjura氏とVivek Gupta氏によって設立され、同年10月に正式にスタートしました。2人が昼食をとりながら、ビジネスアイデアについて話し合っていたとき、彼らが食べていたチキンの品質がとても悪く、ヴィヴェックは、「もしLiciousを創業するなら、このような死んだチキンに命を吹き込む必要がある」と言いました。その時、彼らはLiciousですべてのお客様に特別なノンベジタリアンの体験をお届けし、グローバルな品質基準とマイルストーンを導入することを実現したいと考えました。Liciousは、「自分たちが食べないものは売らない!」というシンプルなミッションを元に創設されました。(以下論考より参照。)

-ファウンダーBIO

ジャンムー出身のAbhay(31歳)は、2004年にベンガルールに移り住み、バイオテクノロジーと遺伝学を専攻しました。又、ビジネスマネジメントも専攻しており、卒業後は保険のリスクマネジメントやBFSI(銀行、金融サービス、保険)の分野でキャリアを築いてきました。

共同創業者のVivek(36歳)は、チャンディーガルで生まれ育ち、公認会計士の資格を取得した後、2004年にソフトウェア会社のTavant Technologies社に就職してベンガルールに移りました。Tavant社の後には、VCのHelion Venturesに転職しました。

Abhayは2010年にチェンナイのFuturisk Insurance Broking社に所属しており、Helion社は当社の顧客であったため、AdhayとVivekは出会い、これらの縁を通じて、彼らは2015年にLIciousを創業しました。

https://www.theweekendleader.com/Success/2640/a-meaty-story.html

4.過去のラウンド概要

過去のラウンドの概要としては、過去7回のラウンドを経験しており、合計で$286.5 Mを調達しています。ラウンド参加の主要投資家の国籍はインド2社、アメリカ2社、シンガポール2社、日本1社、ドイツ1社となっております。 

2018年12月には日本の企業であるニチレイから1,500万ドルの出資を受けています。Liciousの出資の狙いとして、インドという大市場への足がかりとすることと、デジタルデータ(情報技術を活用した需要予測の手法を駆使した)サプライチェーンの構築という、ニチレイにはないビジネスモデルを学ぶことを挙げています。(以下ニチレイ社ホームページより画像引用、参照。)

https://www.nichirei.co.jp/newbiz/biz001/

シリーズFでは1億9,200万ドルの資金調達を行い、このラウンドではTemasekとMultiples PEの他、Brunei Investment Agency、Vertex Ventures Southeast Asia and Indiaなどが参加しました。尚、今回の取引において、Avendus CapitalがLicious社の財務アドバイザーを務めています。調達した資金は、テクノロジーを活用したサプライチェーンの変革、品質の向上、顧客満足度の向上に向けた投資に充てられます。又、インドでの市場の拡大、国際的な拡大計画の推進、既存市場での能力強化、オムニチャネル5の強化、新製品の発売などに活用されます。

https://www.avendus.com/crypted_pdf_path/img_60df282faed6b_avendus-licious-deal-release.pdf

ラウンド名時期調達額バリュエーション参加投資家
Seed RoundSep 2015$ 1M3one4 Capital
Series AApr 2016$ 3.5MMayfield Fund
Series BMar 2017$ 10M3one4 Capital, Mayfield Fund
Series CSep 2018$ 25MBertelsmann, Vertex Ventures
Series DDec 2018$ 25MNichirei
Series EDec 2019$ 30MVertex Growth Fund.
Series FJun 2021$ 192MMultiples Alternate Asset Management Private Limited, Temasek Holdings

crunchbaseより筆者作成

[注釈]

5オムニチャネルとは企業とユーザーの接点であるチャネルを、 ECサイトなどのwebサイトだけでなく、メールやスマホアプリといったその他のオンラインの接点、さらには店舗などのオフラインの接点も含めて様々なチャネルを連携し一環した顧客体験を提供し、ユーザーにアプローチする販売戦略のことです。

https://jp.marketo.com/content/omni-channel.html

5.業界の動向、分析

2019年のインドの食肉市場の市場規模は3兆3億ルピーで、2024年までには4兆6億ルピー以上になると予想されています。

以下のリンクより引用

https://redseer.com/newsletters/a-new-silver-lining-to-indias-meat-market/

又、インドの人口の70%以上が何らかの形で肉を消費しています。これは特にインド東部・南部で顕著で、特に、西ベンガル州とアンドラ・プラデシュ州の人口の98%以上が肉を消費しています。肉の中で最も消費されているのは魚です。

以下のリンクより引用

https://redseer.com/newsletters/a-new-silver-lining-to-indias-meat-market/

redseer社の調査によると、オンライン食肉市場はコロナウィルスが流行して以降、2.5~3倍に成長しています。これは、コロナウィルスの影響で、オフラインや地元の肉屋から購入する際に不安を感じたことが原因です。オンラインでの販売では、自分たちの優れた品質と衛生管理を伝えることで、消費者の信頼を高めました。そのため、オンライン販売を行っている企業は、コロナウィルス流行以降、新規ユーザーを大幅に獲得し、既存のユーザーがより多くの注文をすることで、市場を拡大させることに成功しました。

以下のリンクより引用

https://redseer.com/newsletters/a-new-silver-lining-to-indias-meat-market/

又、オンライン販売の人気の要因は地元の肉屋で肉を購入する際に生じる消費者の以下の図より課題を解決していることにあることが分かります。例えば、オンラインでの販売の肉は清潔で、血の跡がなく、臭いもほとんどありません。また、オンラインプレーヤーは、特に調理済みのものやすぐに食べられるものなど、提供品の幅の点でも差別化を図っています。これらの商品は高品質で、栄養価も高く、都会で働く若い消費者に人気です。

以下のリンクより引用

https://redseer.com/newsletters/a-new-silver-lining-to-indias-meat-market/

インドでは、毎年約300億ドル相当の肉が消費されています。経済成長、一人当たりの所得の増加、都市部の動向、肉や関連製品がもたらす栄養への意識の高まりなどを背景に、この需要はさらに拡大すると予想されています。しかし、この需要の90%を占める市場が未だに組織化されていません。(市場自体が整備されていないという状態です。)

https://yourstory.com/2020/12/startup-freshtohome-reached-ebitda-profitability-bengaluru-delhi/amp

IndiaSpendとFactCheckerによる国民健康データの分析によると、インド人女性の70%、男性の80%が非ベジタリアン食品を摂取しています。また、週単位で見ると、男性の48.9%、女性の42.8%が非ベジタリアン食品を摂取しています。

https://economictimes.indiatimes.com/small-biz/startups/features/from-airlifting-meat-to-battling-misinformation-how-licious-zappfresh-and-freshtohome-kept-pace-with-online-deliveries-during-lockdown/articleshow/75861342.cms?from=mdr

6.競合との差別化ポイント

Liciousとインドのにおける競合をまとめた表は以下となります。

会社名LiciousFreshtoHomeZappfreshBigbasketTenderCuts
本社所在地ベンガルール、インドベンガルール、インドグルグラム、インドベンガルール、インドチェンナイ、インド
従業員数2,4771284515,994230
資金調達額$286 M$169 M$9.06 M$788 M$19.3 M
バリュエーション$613 M$295 M$22.9 M$1.26 B$300 M

tracxnより筆者作成

Licious社は、インドの消費者向け生鮮肉・魚介類の最大手ブランドとして、テクノロジー、データサイエンス、サプライチェーン、製品品質、消費者エンゲージメント6、カテゴリー理解など、あらゆる面で差別化を行っています。コールドチェーンを利用したサプライチェーン機能を持ち、各製品の品質と鮮度を世界基準で科学的に維持しているため、まだ体系化されていない食肉・シーフードカテゴリーを牽引するブランドとして、他社に先駆けて大きくリードしています。

https://in.linkedin.com/company/licious-borntomeat

FreshtoHomeは技術スタック7を構築するとともに、必要なサポートシステムやコネクションがあることが大きな強みで、粗利益率が20~25%であり、この数値はほとんどの他社と比較して高い数値となっています。これは中間業者の介入を取り除くことによって可能となっています。

又、FreshtoHomeはテクノロジーと人材を備えた完全なサプライチェーンを組織することによって、化学物質を使用せずに鮮度を保つことを可能にしています。このサプライチェーンを構築するのにテクノロジーを学び、漁師や畜産農家の基盤を理解する必要がありますが、一度構築されるとスケーラビリティ8という競合優位性が生まれます。

https://yourstory.com/2020/12/startup-freshtohome-reached-ebitda-profitability-bengaluru-delhi/amp

Zappfreshの共同創業者であるShruti Gochhwal氏によると、Zappfreshの強みは、品質と配送のスピードをコントロールできるということだと言います。バックエンドのコールドチェーンやサプライチェーンは、強力なテクノロジーによって在庫を管理しています。そうして、Zappfreshは製品の品質と鮮度により85%のリピート率を実現しています。

https://techstory.in/zappfresh-raises-funding-2018/

又、Zappfreshは農家や食肉処理場と連携してサプライチェーンを構築し、化学物質を含まない新鮮な肉を提供しています。オムニチャネルモデルでは、さまざまなパートナーと協力して、透明性とトレーサビリティー9を確保しています。

https://yourstory.com/2018/08/zappfresh-licious-working-meat-matter-finding-profitability/amp

marketing91によると、BigBasketの強みは大きく分けて6つあると言われています。1つ目は商品の数で約18,000点にも及ぶ商品を提供しています。二つ目は海外の商品も取り扱っている点です。Big Basketでは、近隣の小売店ではなかなか手に入らないような海外の果物や野菜、輸入食料品なども取り扱っています。このような商品を好んで購入されるお客様へのサービスに強みを持っています。三つ目は大幅な割引額です。Big Basketでは、様々な商品の大幅な割引を行っています。また、商品をまとめて販売することで、売上を最大化し、お客様に最大の割引を可能にしており、有利なオプションがあります。四つ目はBig Basketは、ショッピングモールの行列に並んだり、小売店にわざわざ足を運んだりする必要がありません。玄関先で商品を受け取ることができ、複数の支払い方法があります。5つ目は、顧客のターゲットグループです。ターゲットとなるお客様を慎重に選び、大都市と一部のティアI都市に基盤を築いています。バンガロール、ハイデラバード、ムンバイ、プネ、チェンナイ、デリー、マイソール、ヴァドダラ、パトナ、インドール、ビジェイワダなどで展開しています。現在、約25都市で展開しています。6つ目は低固定費のビジネスモデルです。Big Basketが提供する商品のほとんどは生鮮品であるため、商品の調達は提携している小売店に依存しています。そのため、在庫コストがかからず、収益性の高いビジネスモデルとなっています。

又、Bigbasketの課題は5つあると言われています。一つ目は配送時間です。BigBasketでは食料品が配送されるのは注文を受けた翌日となっております。一方で、多くの小売業者は、近隣の社会や顧客に数分から数時間で配達するサービスを開始しています。そのため、顧客の中にはBigBasketではなく、他社のサービスを利用する方もいます。二つ目は変動費が高いという点です。多くの配達員、配達用トラック、生鮮品の保管、輸送中の廃棄物などにかかる変動費が高く、より多くの資金を投入しなければならず、損益分岐点に達するまでに時間がかかります。三つ目は一定の注文価格以下では宅配サービスを提供していないという点です。四つ目は配達時には、顧客は家にいなければならないという点です。5つ目は注文のキャンセルです。商品の提供は、提携している店舗に依存しているため、店舗に在庫がない場合、商品を届けることができず、注文がキャンセルされることがあります。

https://www.marketing91.com/swot-analysis-big-basket/

TenderCutsは、肉屋は注文を受けてから肉をスライスするため、商品の鮮度を保つことができ、2時間以内に、店舗または玄関先で消費者に新鮮な肉を提供することができる唯一の企業です。インドでは、D2Cの食肉市場はまだ初期段階にあり、その普及率は1%にも満たないですが、TenderCutsは。TenderCutsは、オムニチャネルを備えたビジネスモデルで差別化を行っています。これにより、TenderCutsは、市場の約96%を占めるオフラインセグメントにも高品質の肉や魚介類を提供することができるようになりました。

https://www.business-standard.com/article/companies/meat-brand-tendercuts-raises-15-mn-from-paragon-partners-nabard-vc-121020800705_1.html

又、TenderCutsのCEOであるNishanth Chandran氏はオフラインでの販売について「私たちのビジネスは、小売店に来て肉を買いたい人が、オンラインでの注文とは別に、肉を買うことができるようになっており、ベンガルールにすでに存在する他のプレーヤーとの差別化を図っています。触れて感じることが人々にとって重要であるという事実を無視することはできません。だからこそ、私たちは小売店を持つと同時にオンラインでも事業を展開するのです。」と言っています。

https://www.deccanherald.com/business/business-news/meat-delivery-startup-tendercuts-to-invest-rs-45-cr-on-bengaluru-expansion-1020085.html

[注釈]

6エンゲージメントとは企業と従業員との繋がりや絆、企業や商品に対する消費者やユーザーの愛着度などを表す言葉です。

https://bizhint.jp/keyword/14247

7技術スタックとは、一つのアプリケーションを構築および実行するのに使用される一連のテクノロジーサービスのことです。

https://mixpanel.com/ja/topics/what-is-a-technology-stack/

8スケーラビリティとは経営においての事業やサービスの規模の拡張性を表します。別の言葉で言えば、「ある事業やサービスの規模を、ユーザーの増加に合わせて拡大する際、最初の満足度や使い心地を保ったまま拡大していけるか」ということを示します。

9トレーサビリティは商品がどのような場所で作られ、流通し、販売されているのかを把握するための仕組みです。

https://smj.jp.sharp/bs/spotlight/2020/03/traceability/

7.現地からの考察

Liciousは生肉系D2Cではいち早くユニコーン化になりそうな有望スタートアップとなっております。加工センターを自前で持っており、地場に根差した食肉の供給体制を構築できる強みときめ細かいカスタマーサービスが魅力となっています。

例えば、インドにおける第一次ロックダウンでデリバリーボーイが道に迷っている中でも、Liciousのカスタマーサービスは他社であったら「自分で道案内してくれで」終わり、対応しないであろう、デリバリーボーイへの道案内まで丁寧に実施してくれました。

加えて、DunzoやSwiggy Instamartといったギグワーカーを活用したデリバリーサービスとの連携で間接的に自社サービスを売ることができており、まんべんなく商品供給が可能になっていると想定でき、同業他社と比べて一歩先を進んでいると考えられます。

ただし、Bigbasketのような総合系イーコマースも自社で生肉ブランドを持っており、こことの競争が激化していくと想定されます。

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Satoshi Nagataさん
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